「ああ、まあ、やっぱりこういったことは兄が優先されるものだからな。ウォーランはともかくとして、俺以外に選択肢がなくなるのではないかと思っていた」

 イルドラ殿下は、ゆっくりとため息をついた。
 その呆れたような表情は、多分父親である国王様に向けられたものだろう。彼もあの判断には思う所があったようだ。いやそもそも、玉座の間で既にそれは口にしていた。

「ただ、せっかくこのようなことになったのだから、皆王位を志してもらいたかった所だな。正直な所、兄弟の中で俺が一番王の資質があるかはわからない。エルヴァンやオルテッドはこれから成長もするだろうし、微妙な所だ」
「まあ、国王様はまだしばらくの間は健在でしょうから、その間にお二人は大いに成長しますよね……」