「ええ、ただ兄上達には敵わないと思い知らされました。特にイルドラ兄上やウォーラン兄上にはね。アヴェルド兄上が選ばれたのは正直不本意ではありました。まあこれは、後からなんとでも言えるというだけですが」

 エルヴァン殿下の苦笑いに、私はなんとも言えない気持ちになっていた。
 彼は彼で、兄との差に色々と悩んでいたということだろうか。それは少し、辛いことである。
 ただ、それについて私が何かを言うべきではないだろう。それはきっと、エルヴァン殿下の中では既に片付いていることなのだから。

「……でも私は」
「うん?」
「私はエルヴァン殿下も、王に相応しい方だと思いますよ。今回の件でも、色々と助けていただきました。感謝しています。本当にありがとうございました」
「……いえ」

 私のお礼に、エルヴァン殿下は少し照れていた。
 そんな彼に対して、私は思わず笑顔を浮かべてしまうのだった。