「ですが、僕は王位には相応しくありませんから、お気になさらないでください」
「王位に相応しくない、ですか?」
「ええ、こんな所で本を読むために入り浸っている僕が、王に相応しいと思いますか? というよりも、王なんかになったら本を読む時間が減ります。僕はそれを望んではいません」

 エルヴァン殿下も、弟と同じように王位を望んでいない。その事実に、私は少し頭を抱えることになった。
 もしかして、この兄弟は誰も次期国王になりたいと思っていないのだろうか。それはそれで、問題であるような気がする。まあ、エルヴァン殿下も第四王子である訳だし、自分が王になんて思ってもいなかったということなのだろうか。

「とはいえ、別に王位に興味がないという訳でもありませんよ。父上は一応、平等にチャンスを与えてくれると言っていましたから、それを目指そうと思った時もありました」
「え? そうなのですか?」