私は、書庫にいるエルヴァン殿下の元に来ていた。
 オルテッド殿下もそうであったが、彼も微妙な表情をしている。それは私と婚約したくないとか、そういった旨の話だったら、地味にショックなのだが。

「リルティア嬢、わざわざ僕の所になんか来なくても良かったのに」
「いえ、そういう訳にはいきません。私には、次期国王を見定める義務がありますから」
「義務ですか? 父上の無理難題のせいですみませんね」

 エルヴァン殿下の言葉に、私は苦笑いを浮かべる。
 オルテッド殿下といい、皆国王様の判断には呆れているようだ。それはそうだろう。国の命運を私なんかに握らせるなんて、どうかしている。
 私も一応は受け入れているのだが、今からでも覆してもらいたいくらいだ。とはいえ、国王様は頑なだったし、多分それは無理だろう。