「その辺りは、兄上の中の誰かが継いでくれればいいと思っている。大体、第五王子の俺にお鉢が回って来るなんて、考えていなかったんだよ」
「なるほど……」

 オルテッド殿下の言葉に、私は納得していた。
 貴族もそうだが、基本的には家を継ぐのは長男だ。その長男が駄目になったら次男、それが駄目なら三男、そういうものである。
 第五王子ともなると、ほぼ王位を継ぐなんてことはない。そう思っていたからこそ、今回のことには逆に困っているということだろう。

「まあ、そもそもリルティア嬢だって、俺は嫌だろう? 子供過ぎる訳だしさ」
「それは……でも、こういったことはそういう好みで決めることではないと思うの。国王様も、次期国王に相応しいかどうかで判断するように言っていたし」
「うーん。それじゃあ、俺って次期国王に相応しいか? こんな自ら辞退しようって奴が」