私の目の前にいるのは、第五王子のオルテッド殿下だ。
 王族の中でも最年少である彼は、私の顔を見てあまり気が乗らないというような顔をしている。
 それはそうだろう。まだまだ子供と言える年齢の彼にとって、私との婚約なんて考えられるものではないだろう。

「……父上も何を考えているのか、俺にはわからないな」
「えっと……」
「あ、あのさ。あんまり気を遣ったりしないでいいからね。砕けた感じで喋ってくれよ。年上の人に堅苦しく話されるの苦手なんだ」
「そうですか……あ、いいえ、そうなのね」

 オルテッド殿下は、結構友好的な感じで私に声をかけてきた。
 婚約に乗り切ることはできないが、私に対して悪い印象を抱いているという訳では、ないのかもしれない。

「いやさ、俺は別に国王になるとかは興味なくてさ」
「あら? そうなの?」