「私は最早、自身の目を信用することができない。そもそもの話、私は父親だ。息子達のことを考える際に、どうしても贔屓目が入る。それは恐らく、良くないことだろう」
「だからといって、リルティア嬢に任せるなんて……」
「リルティア嬢のことは、信用できると思っている。イルドラ、それはお前も同じではないのか?」
「それは……」

 国王様の言葉に、イルドラ殿下は言葉を詰まらせていた。
 彼から信頼してもらえているという事実は素直に嬉しい。ただ、ここで納得されると私としては少し困ってしまう。

「彼女ならば、真に王として相応しい者を見極めてくれるはずだ。私はリルティア嬢に判断を委ねたい。次期王妃として、彼女には自らの伴侶を決めてもらいたいのだ」

 国王様は、私の目を真っ直ぐに見つめてきた。
 その瞳からは、真摯さが読み取れる。本当に心から、私に頼んでいるのだろう。
 それに私は、再度固まってしまう。この身に余る要請に、私は大いに混乱するのだった。