そこで私は、思わず間の抜けた言葉を発してしまった。
 国王様は、一体何を言っているのだろうか。その理解が追いつかず、私はぽかんとするのだった。

「……父上、何を言い出すかと思えば」

 国王様の言葉に固まっていた私は、イルドラ殿下の声に少しだけ冷静に考える力を取り戻していた。
 しかし冷静に考えても、訳がわからないことだった。私が次期国王を決めるなんて、一体どういうことなのだろうか。正直、まったく理解することができない。
 イルドラ殿下も、きっとそれは同じなのだろう。彼は鋭い視線を国王様に向けている。

「リルティア嬢に次期国王を決めさせるなんて、正気ですか?」
「もちろんだ」
「それを決めるべきは、父上の役割なのではありませんか? それを放棄しようというのですか?」