例外だったのは、アヴェルド殿下だ。この二人から、あの不真面目の塊が生まれたことが信じられないくらいである。

「今回の件において、君は大いに活躍したようだな。メリーナ嬢から聞いたが、彼女を救ったのも君だと聞いている」
「……救ったというのは、大袈裟な話です。彼女を助けられたのは、偶然でしかありません」
「偶然であったとしても、君が人を助けたことは事実だ。それにそもそも、良い方向に導ける偶然を君が手にしていたというなら、それは君の才能だろう。それは素晴らしいことだ」

 国王様は、私のことを高く評価してくれていた。
 それ自体は、嬉しく思う。ただ私は、話の雲行きが少し怪しいことを感じていた。
 よく考えてみると、周りの王子達の態度も妙だ。皆、少し暗いというか、何かを考えているといった感じだ。