そんな王妃様の凛々しさというものは、今でもそれ程変わってはいない。
 息子を失ったにしては、冷静過ぎる程に落ち着いている。そういった所も、流石は王妃だということだろうか。

「しかしながら、別にあなたに対して恨みを抱いてはいません。これに関しては、ネメルナ嬢に対しても、でしょうか。私はあなたに謝らなければなりませんね」
「いえ、謝罪など私は求めていません。今回の件について、王妃様に非があるという訳でもないのですから」
「私の育て方が悪かったとも考えられます」
「お言葉ですが、あれは個人の問題であると思います。イルドラ殿下や他の弟君が、アヴェルド殿下のようにひねくれていないのですから」

 私は、王妃様からの謝罪の言葉を受け取るつもりはなかった。