「ああ、それも覆りはしないだろうな。これに関しては、ネメルナ嬢以上にそうだといえる。何せ、三人も殺している。メルーナ嬢のことを考えると、未遂もある。あなたがラフェシア嬢に掛け合ってなかったら、彼女もまず間違いなく暗殺されていただろう」

 イルドラ殿下の言葉に、私は息を呑んだ。
 メルーナ嬢がもしも被害を受けていたらと思うと、心が苦しくなってくる。
 彼女の方がどう思っているかはわからないが、私の方は既に友人だと思っている。友人を救えたことは、喜ぶべきことだろう。

「まあ何はともあれ、今回の事件に関わる者達には全員裁きを下せそうだ。兄上にも天誅が下ったということだろう。今まで好き勝手してきたツケを払ったともいえる」
「やはりネメルナ嬢も、薄々勘付いていたのでしょうか?」
「本人が口を開いてくれない以上、それがわかることもないのかもしれないな。まあどの道、兄上がひどいことをしていたことは事実だ。その点に関して、俺はネメルナ嬢に同情している。もちろん、浮気は許されることではないが……」