結局アヴェルド殿下は、助からなかった。
 ネメルナ嬢は、急所をついていたようだ。衝動的な犯行であるようにも思えるが、その辺りの冷静さなどが少々妙ではある。

「とりあえず話は聞いているが、ネメルナ嬢は何も答えはしない。黙秘を貫いている」
「黙秘ですか……」
「喋るとは思えないな。まあ、どの道極刑にはなる訳だが……」

 アヴェルド殿下を殺害したことによって、ネメルナ嬢にはまず極刑が下されることになる。
 それは、まず覆らない事柄だ。いくらアヴェルド殿下に非があったとしても。
 そもそもの話、ネメルナ嬢の現在の立場はとても悪い。父親であるオーバル子爵も、三人もの人間を殺害しているからだ。

「オーバル子爵の方も極刑になるのでしょうか?」