「見苦しいぞ、アヴェルド。お前には王家としての誇りすらないのか?」
「王家としての誇りを持っている私が、三名もの女性と関係を持っていたりする訳がないではありませんか。そんなことは、父上だってわかっているはずです」
「……仕方ないか」

 アヴェルド殿下の言葉に、国王様はゆっくりと手を上げた。
 その手は取りたくなかったのだろう。それは表情からよく伝わってきた。
 その合図によって、玉座の間には一人の女性が現れた。それは私もよく知っているメルーナ嬢だ。

「メ、メルーナ、どうしてここに?」
「……メルーナ嬢、君に一つ問おう。先程私が言ったことに、間違いはないか?」
「はい。間違いありません」

 メルーナ嬢はアヴェルド殿下のことを一瞥することもなく、国王様の言葉に応えた。