「さて、オーバル子爵、今回何故呼び出されたのか、君は理解しているか?」
「いいえ、皆目見当もつきません」

 玉座の間にて、国王様はオーバル子爵のことを冷たい視線で見つめていた。
 質問に対して、オーバル子爵は汗を流している。何故呼び出されたのか、理解していないという訳でもなさそうだ。
 それは当然のことだろう。モルダン男爵家とラウヴァット男爵家に対して謀殺を仕掛けて、その直後に呼び出されたとなれば、焦らない訳がない。

「オーバル子爵、何かしらやましいことがあるというなら、是非とも君の口から聞かせてもらいたいものだ。最後まで白を切るなどという考え方はやめておいた方がいい。それは君の立場を悪くするだけだ」
「……何を仰っているのか、私には理解できませんね。やましいことなど、何もありませんから」
「そうか」