「アヴェルド殿下は、どのような様子なのですか?」
「兄上はまだ事態を知らされてはいない。まあもちろん、関わりがあった二家の男爵と一家の令嬢が亡くなったことには、色々と思っているようだがな」
「ネメルナ嬢の方は?」
「そっちも事態は知らされていないが、気楽なものだな。まあ、彼女は本当に何も知らないということだろう」

 アヴェルド殿下はもちろん、ネメルナ嬢も現在王城にいる。
 その二人は、オーバル子爵が来た時に事実を伝えるつもりということだろう。
 それは恐らく、逃亡を防止するためだ。場合によってはアヴェルド殿下などは、逃げる可能性は充分ある。

「えっと、国王様はどうされているのですか?」
「父上は衝撃を受けているが、判断はきちんとしている。まあ、国民に事態の全てを余すことなく説明するかはともかくとして、兄上やオーバル子爵を逃がしはしないさ」
「そうですか。それは安心できますね」