アヴェルド殿下とネメルナ嬢の婚約が発表されてから、私は王都の宿で気を伺っていた。
 そんな私が呼び出されたのは、発表から一週間と三日が経ってからのことだった。イルドラ殿下から、王城に来て欲しいと言われたのである。
 という訳でやって来た王城は、揺れていた。騒がしいということは、何か問題が起こっているということになる。それはここにやって来た時点で、ある程度の予想はついていた。

「リルティア嬢も、今回の件には無関係ではないということで、同席させるべきだと父上が判断した」
「そうですか……」
「まあ、連絡は三日前にした訳だが」

 発表から一週間後、私は既に連絡を受けていた。
 イルドラ殿下の仕事は早く、その時点でオーバル子爵を追い詰める準備が整ったようだ。
 ただ、本人や私を呼び出す時間が必要だということで、結局三日経ってから王城に足を運ぶことになったのである。