まさかあのときのおばあさんが、緒方くんのおばあちゃんだったなんて……。
「衛藤さんは、お礼はいらないって言ってたけど。君が甘いものが好きだって、友達と教室で話してるのが聞こえて……」
確かに、前にメイサと教室でそんな話をしていたことがあったな。
「それで、あの日ばあちゃんを助けてくれたお礼も兼ねて、俺は衛藤さんにお菓子を贈っていたんだ」
そうだったんだ。緒方くんって、律儀なんだな。
「緒方くん、毎日お菓子をくれてありがとう。あのお菓子って、もしかして緒方くんが?」
「ああ。俺が家で作ってる。実は俺……その、お菓子作りが趣味で……」
「えっ、そうなの!?」
「あっ、ああ」
緒方くんが、髪をくしゃくしゃと手でかき混ぜる。
まさか緒方くんが、お菓子作りが趣味だなんて、初耳! 人はやっぱり、見かけによらないなあ。
「あんなに美味しいお菓子が作れるなんて、緒方くんすごいね! 私、緒方くんの作るお菓子、好きだよ」