私の下駄箱の前で立ち止まり、周囲をキョロキョロしながら下駄箱の中に紙袋を入れた人。


それは、みんなからヤンキーと呼ばれて怖がられている、クラスメイトの緒方くんだった。


ど、どうして緒方くんが!?


予想だにしない人物の登場に、私はあんぐりと開いた口が塞がらない。


私がフリーズしている間に、緒方くんが下駄箱から離れようとしたので、私は慌てて声をかける。


「ちょっと、緒方くん!!」


彼が、クラスメイトから怖いと恐れられていることなどすっかり頭から抜け落ち、私は緒方くんに突進する勢いで駆けていく。


「え、衛藤さん!?」


私が向かっていくのと同時に、走りだそうとする緒方くん。