“また明日ね”


メイサにバレないように、私は緒方くんに向かってこっそりと口パクで言ってみる。


すると緒方くんは、分かったように頷いてニコッと微笑んでくれた。


彼に笑いかけてもらったのが嬉しくて、私は思わず口元がゆるむ。


「どうしたの、彩音? 急にニヤニヤしちゃって」

「ううん。何でもないよ」


いけない、いけない。ここは、堪えないといけないのに。つい顔に出てしまった。


「ひとりでニヤけるなんて。変な彩音〜」


メイサに指摘されたから、顔に出ないように私は頑張るものの。


困ったことに、それからもしばらく私のニヤニヤはおさまらなかった。