数日後の朝。
「えっ! 緒方くんってお菓子作りだけじゃなくて、食べるのも好きなの!?」
「ああ。だから、ケーキ屋とかカフェ巡りも好きだったりする」
「へぇーっ」
いつものように朝ふたりで教室で話していると、緒方くんがお菓子を作るだけでなく食べるのも好きだと知った。
「でも……」
緒方くんの顔が、わずかに曇る。
「ケーキ屋はまだしも、カフェって女性客が多いだろ? それに、可愛い外観の店だと、男一人じゃなかなか入店しにくくて」
確かに。言われてみれば、そうだよね。
「かといって、頻繁に妹のことも連れていけねえし。あいつ、今はカフェより友達と遊ぶほうが良いって」
「だったら……今度の週末にでも、良かったら私と二人で一緒に行く?」
「え!? 良いのか!?」
「もちろん。喜んで」
緒方くんには、いつも美味しいお菓子を頂いているから。
一度、ちゃんとお礼をしたいって思ってたんだよね。
「ちなみにだけど、衛藤さん。俺と二人でカフェに行くってことは……そっ、それってもしかして、デー……」