「はっ、えっ! すっ、好き!?」


緒方くんの持っていたスクールバッグが、床に勢いよく落ちる。


「うん。だから……緒方くんさえ良かったら、これからもたまにお菓子を作ってくれる? 私、緒方くんのお菓子また食べたいな」


私が緒方くんに何歩か近づいて言うと、緒方くんは頬だけでなく今度は耳まで真っ赤にさせた。


「はっ、はい。衛藤さんのためなら俺……よ、喜んで作らせて頂きます!」


緒方くん、なんで敬語?


ていうか、これまで緒方くんに勝手に抱いていた怖いイメージとは、随分と違う気がする。


もしかしたら緒方くんは、私やクラスのみんなが思っているような人じゃないのかもしれない。