高2の冬に失恋した私、柊望楓(ひいらぎもか)は、高3に無事進級しました。

「望楓ー!3年間同じクラスとか奇跡じゃない?!」

この子は私の小学校からの親友、花泉和恋(はないずみわこ)ちゃん。

超絶可愛くて裏ではすごいモテてると思うんだけど、思いを伝える人は全然いないから、本人はそれを知らない。

「和恋ちゃんと同じクラスで安心だよ〜。中学校3年間別だったからね〜」

「おー望楓も和恋も一緒か!今年もよろしくな〜」

この人は私の元好きな人、神楽翔汰(かぐらしょうた)。

本人は私が翔汰のこと好きだったことなんて知らないはずだから、普通に話しかけてくる。

その方が気まずくなくていいんだけどね。

「翔汰がいるなら体育祭安心だね」

「俺1人に頼られても笑」

「そういえば望楓。俺の弟が吹部入りたいって」

そうそう、私は吹奏楽部でアルトサックスを担当している。

中学の頃はバリトンサックスで、高校でもやりたかったけど、1個上の先輩がやってたからできなかった。

1台しかないから、年が2個差で受け継がれていく。

「まじ!なんの楽器やりたいとか言ってた?」

「中学の頃もやってたから、多分その楽器やると思う。中学んときは、アルトサックスやってた」

一緒じゃん。もしかしたら翔汰の弟が私の後輩になるのか。

似てるのかな、ぜんぜん違うのかな。

どんくらいうまいかな。もしかしたら私よりうまいかも…。

「来週から体験だもんね。弟くんに待ってるねって伝えといて〜」

「りょ。弟のことよろしくな」

「いやまだ会ったことないけど笑」

どんな子かすごい楽しみだな〜。