私はバレー部に仮入部してから学校に行けた時はなるべく顔を出した。
 でも、途中から入ってきた初心者の私が急に入って馴染めるわけもなくただずっと萎縮しているのが当たり前になった。
 一人で黙々と練習をする私に先輩達も声をかけにくかったからか、必要な時に必要な分だけしか話しかけてはくれなかった。
 気を紛らわすために無心でやっていていたらグングンとバレーは上達していき、先生に褒めてもらえることが増えた。
 私の通っている中学校は人数が少なく一つの学校だけでは規定人数を満たせず隣の学校のバレー部と合同して練習や試合に臨んでいた。
 私と同学年のバレー部は幼馴染の二人と合併した学校の子一人だけだった。
 初めて顔を合わせる前に私は幼馴染の二人からあの子は気をつけといた方がいいよと言われた。
なんのことだかわからずとりあえず頷き顔合わせが終わった。
 初めて会った時は気さくに話しかけてくれるいい子じゃないかと思ったが、私が日に日に上達していけば行くほどあの子からの嫌がらせは目につくようになっていった。
 ある日の土曜日の練習時に全員でブロック練習をしていた。私はジャンプ力があり先生に思いっきりと言われたのでその言葉どうりに思いっきり飛べばすごく飛ぶんだね!すごいね!と先輩達から褒めてもらえた。
 ブロック練習が終わり給水タイムになると隣でわざと私に聞こえるように「初心者が出しゃばるな」そうあの子に言われた。
 それからは遠慮しなくなったのか私にだけ聞こえる声での嫌がらせが始まった。
 一番ひどかったのは、あの子が出来なかったことを私が簡単に出来てしまった時だった。早く上達しようと思い先生に練習方法を教えてもらっていた事だったので、すぐに出来たのだ。
 給水タイムになり水を飲みに行こうとすると私の水筒の蓋を開け先輩や先生達には見えないように大きな音を立てて倒したのだ。
 急いで水筒を拾い私がタオルを探せば「自分で倒したんだから自分のタオルで拭きなよ」と笑いながら言うのだ。幸い先輩達が部のタオルを使っていいと言ってくれたのであの子の言う通りにはならなかったが、私は悩みの種が増え、学校を休んでしまう日が少し増えてしまった。
 それでもバレーをしたい!上手くなりたいって気持ちがあったからなんとか学校に行っていた。
 バレーでどんなにあの子から嫌がらせを受けても笑顔で私は大丈夫だよ。って返した。
それから少しして私への嫌がらせに飽きてきたのか幼馴染の二人に向けての嫌がらせが目立ってきた。
 ある日、あの子は二人に対してバレーの試合中にしてはいけないことをした。
 二人は試合に出て活躍していてでも、あの子はベンチで先輩や二人の補佐という立場でありながら二人に私が入れ直そうとしていた水筒を奪って中身を目の前でこぼしたのだ。
 私は今まで我慢していた何かが切れて思いっきりあの子の頬を引っ叩いた。
 私は急いで二人に余分に用意していたタオルをやり空っぽになってしまった二人の水筒にお茶を入れ直した。
騒ぎをききつけた先生がやって来たが、もしここで本当のことを言えばせっかくの練習試合が出来なくなってしまうかもと思い、私は先生に
「大丈夫です。ちょっと滑っちゃっただけなので」
と笑顔を顔に貼り付け言った。幸い二人は汗のお陰であまり濡れていることが目立たなかった。
再び試合が始まると、隣で不機嫌に私を睨むあの子。頬を見ると私が思いっきり引っ張たいたからか赤くなっていた。
さすがに叩いてしまったのは悪いと思い、私のタオルに氷を入れ冷やせるようにとあの子に無言で渡した。
思ったおりあの子は受け取ることはせずにただじっとしているだけだった。
反発されるのが慣れていないのか悔しそうに私をひたすらに睨むのだった。どれだけ、自分勝手に生きてきたのだろうか?自分のことを女王か何かと勘違いしていたのか?そう思わざる負えなかった。
その日以降少し大人しくなったあの子。ムカついて態度に出すのは変わらないがあからさまに何かをするというのはなかった。