ーーーー渉side

中学生の頃の文化祭で、ある先輩のソロに心を奪われた。

演奏が終わったあとの笑顔もめちゃ可愛くて、先輩に心を奪われた。

兄にきいたら、同じ高校に行ったって言われたから俺も目指すことにした。

そして無事合格して、吹奏楽部に入って。

そしたらあの先輩がいた。

同じ楽器を続けてた。

体験の時に教えてくれて、あのときの笑顔そのままで俺に接してくれてやっぱ好きだなって思った。

バリサクよりアルトの方が向いてるって、先輩も先生も言ってくれたから、アルトになった。

直々の後輩ではなくてもパートで関わりがあるだけで嬉しかった。

1年生の文化祭でアルトを吹いたって言ってたから、アドバイスもわざわざあの先輩に聞きに行った。

話す口実を作るためなら、直々の先輩がいるなんてそんなの関係ない。

ちゃんと教えてくれるし、可愛いし優しいし。

そんな先輩、恋奈先輩が大好きだ。

恋奈先輩はどう思ってくれてるかな、俺のこと意識してくれてるのかな、そんなことをたまに思う。


「渉ーお前好きな人とかいないの?」


そんなことを兄に急に聞かれ


「いるけどなに」

「え?!誰、お前そんなこと1度も話さなかったじゃん」


そんなわざわざ兄に恋愛話する弟がいるのか?


「吹部の先輩。3年の」

「3年?!俺の同級生じゃん!誰誰々!」

「無理教えない、自分で探して」

「わかった、自分で探す!確か恋奈が吹部だったよな、きいてみよ」


え恋奈先輩の連絡先とか知ってんの。

というか普通に学校で休み時間とかにはなせるの羨ましい。

謎の他学年のフロアに行っちゃだめとかいうルールのせいで、部活以外で話せないし。

やっぱ学年の差って大きいな。