前世での出来事をほとんど思い出せていない私には、かなり他人ごとっぽい気もするし、それに前世で寿命まで生きていた人とそう言う話するには、かなりハードルが高いっていうか……。

「ほとんど記憶を取り戻しているって言ったよね? 俺。人生を捧げて愛した女の人の来世と会えたんだけど……逃す訳ないよね?」

 藤崎くんの爽やかで整った顔は、にっこり微笑んでいた。

 彼の目が少し怖い理由がわかった。それは、私の知らない感情だから。

 底知れぬ愛の沼。藤崎くんから向けられていた感情を、私はどこかで知っていたんだ。

 けど、私は彼のそう言う前世来世飛び越えるくらいの愛を受け止めるには、まだまだ無理っていうか……ちょっと怖いっていうか……。

 とりあえず、もう少し気持ちが落ち着くまで待って貰いたいです。

Fin