「あの時……国は滅びなかったんだね」

 王様も殺されて、戦火が王都まで来ていたけれど、どうやら助かったらしい。なんだか、良かった。

「うん。猫塚の弟は、生きて残っていたから……あ。生まれ変わっているけど、会ってみる?」

 弟居たんだ! っていうか、お姫様の頭の中は婚約者のことでいっぱいだった。本当に彼のことが好きだったんだと思う。

「へーっ! うん。なんだか、変な感じするけど、会ってみようかな」

 前世の弟って言われても思い出してもないけど、前世の話をするのって楽しそう。

「あのさ」

「うん?」

「ここまで話して、わからない? 俺がその……猫塚のことをどれだけ愛していたかなんだけど」

 藤崎くんはまっすぐに見てそう言ったので、私は思わず椅子を引いてしまった。

 いや……逃げる必要なんてどこにもない。彼には私に敵意なんて、どこにもなくて……逆に私のことを愛しているって?

「えっ……でも、それって前世のことだよね?」