「俺はなんか、あの人と猫塚を同一視してしまっているんだよね。生まれ変わって同じ時代に生きたい一心で、色々やったしさ……多分、そういうのやり過ぎて、猫塚が亡くなったあたりに亡くなった奴も一緒に生まれ変わっているみたいだしさ」

「あ。そういう……何かを前世の藤崎くんはしたってこと?」

「うん。伝説レベルのことから、何から何までやり尽くしたって言って良いかもしれない。だから、寿命を終える時はここまでやったんだから、絶対に会えると思って死んだ。俺……そういう記憶も持ってる」

 すごい……来世で亡くなった愛した人と会いたい一心で、ここまでやれる人ってなかなか居ないと思う。

「……前世の藤崎くんって、結婚しなかったの?」

 私は不思議に思った。彼は公爵家の跡取り息子だったし、だからこそ、お姫様の婚約者だったはずなのに。

 藤崎くんは何度か頷いて、私の疑問に答えた。

「しなかった。っていうか、出来なかった。なんであの時に国を離れたんだって、後悔ばかりが浮かんできて……だから、他の人と結婚してもその人を不幸にするだけだと思って、弟に家督を譲ったんだ」