けど、藤崎くん本人とこうして話をすることが、出来て良かった。彼の愛はちゃんと伝わっていて、お姫様の想いも伝えることが出来た。

 これにて、めでたしめでたし……みたいな。

「あのさ」

 私の満足そうな顔を真面目な表情で見ていた、藤崎くんは言った。

「え? 何?」

 前世での恋人たちの誤解が、綺麗に解けた。良かった。これはもうお祝いするしかない。

「なんか……すごく他人事っぽいよね。お姫様って言ってるし、自分の名前ももしかして思い出せてない?」

 藤崎くんは慎重にそう言った。

 確かにそうなので、私は軽く頷いた。

「あ……うん。だって、私は亡くなる直前のこととその時に持っていた感情くらいしか、思い出してないもん。黒木くんとか藤崎くんだって、顔が良く似ているからそうなのかなってくらいで、婚約者のことがすごく好きだったくらいしか……」

 私としては、そう言うしかない。前世の記憶が蘇ればそれはまた違うのかもしれないけれど、今の時点であの部分しか、思い出してないんだもん。