苦しそうに、藤崎くんは言った。

 そうなんだ。ずっと……けど、お姫様は誰から何を言われようと、ずっと婚約者のことを信じていたんだよね。

 彼女が亡くなってしまう。最期の瞬間まで。

「あの……あの、お姫様はずっと婚約者のこと、信じていたよ。周囲の人からは裏切ったと言われていたけど、ずっと信じていた。だから、裏切ったって思ったまま、亡くなってないと思う」

 これって、もしかしたら、慰めにはならないかもしれない。

 婚約者は彼女を喪ったことは確かで、前世の婚約者に会うために、自ら命を断つこともなく寿命を全うしたのだ。

 それって、すごい愛だ。

 だから、そんな人の記憶を持つ彼に、お姫様は愛して信じたままで亡くなったんだよって伝えたかった。

「そうなのか……」

 藤崎くんは大きく息をついた。

「うん。皆は裏切ったって言っていたけど、ずっとずっと信じていたよ。それだけお姫様は彼のことを愛していたんだと思う」

 確か前世の黒木くんにも言われて、それを否定していたはずだ。