けど、黒木くんが前世の私を裏切って、殺してしまって、それを誤魔化すために藤崎くんについて嘘をついたってこと?

 ……こんな事をした人を、信じられる訳ないよね。

 私が不信感を持って黒木くんを見れば、彼はぶんぶんと首を横に振った。

「そんなつもりはない! そんなつもりはないけど……けど、でも」

「でもって、なんなんだよ。俺は猫塚の記憶が戻る事を待っていたし、それはお前だってわかっていたはずだろう。なんで、俺に近づくなって言うんだ? ちゃんと説明しろよ。もう、これは逃げられないぞ」

 藤崎くんは今まで私に見せていた爽やかで優しい対応はどこかに置いてきてしまったのか、怒っている感情をそのままに黒木くんを追い詰めているようだった。

「……猫塚さんが記憶を取り戻したことは、藤崎だってなんとなく気がついていただろう。僕は隠していたつもりはない」

 かなりの間無言だった黒木くんは、眉間に皺を寄せてそう言った。

「ああ。そうなのか。けど、なんで猫塚に俺に近づくなって言ったんだ?」

 藤崎くんは淡々とした口調で言った。私もそれは知りたい。私は亡くなったあの場面しか覚えていないから、黒木くんの言い分をずっと信じていた。

 けど、これだと……。