黒木くんをパッと見ると、私の手首を離して、目に見てわかるくらいに怯えているようだった。

「……黒木、やっぱりお前も、思い出していたんだろう? どうして、猫塚に何も言わない?」

 藤崎くんは怒っているようだ。黒木くんが、何かを隠しているから……?

 黒木くんは開き直ったかのように、目の前に居る藤崎くんをキッと睨みつけていた。

「藤崎。猫塚さんは、お前の事を怖がっていた。仕方ないと思わないか。あんな風な最期だったんだ。お前が守れなかったことは事実なんだから」

「……お前は自分のせいでああなったことを、まだ言ってないのか?」

 へっ!?

 私は二人の会話を聞いていて、物凄く驚いてしまった。なんとおっしゃられました?

 黒木くんのせいで私……前世で死んじゃったってこと?

「不可抗力です。あの結果を、僕が望んだ訳では……」

 黒木くんは、はぎれ悪くそう言った。

 なになに……私は黙って聞いているだけだけど……これだと、悪者は黒木くんだったって事にならない?