「……あ! 私。大丈夫! 先に図書館に行ってるから、二人ともごゆっくり!」

 え……何、大丈夫って!?

 私が驚いている間に、絵里香ちゃんはサササっと入り口を出て、駆け足くらいの速さで去って行ってしまった。

 完全に誤解してしまっていると思うけど……仕方ない。これは仕方ない。

「黒木くん……話って、あれだよね?」

 あれってつまり前世の話だけど、黒木くんにはわかって貰えたようで頷いた。

「ああ。ここではなんだから……」

 黒木くんはそう言って、周囲を見回した。確かにここは、大きな入り口前で人通りも多い。

 前世の記憶がどうこう言ってる男女……白い目で見られそう。

 私は黒木くんにみちびかれるがまま、彼に着いて行った。

 総合商業施設のひと気のない駐輪場あたりに私たちはたどり付き、私は黒木くんがここに居た理由を聞いてみることにした。

「黒木くん……もしかして、私たちが今日ここに居ること、知っていた?」

 じっと彼を見つめると、面白いくらいにしゅんとなってしまった。

「ああ……ごめんなさい。猫塚さん。僕もあまり、良くないとは思ったんですけど……」