黒木くん、私の人生に最近登場し過ぎじゃない……?

 それに、偶然にしては、偶然過ぎるっていうか。

 ……私たちが今日のお出かけを相談していたのは、教室だったから……黒木くんはクラスメイトなので、聞いていてもおかしくない。

 おかしくはないけど……そんなはずないか。

 私と絵里香ちゃんは文房具屋にて、自分の希望していた物を手に入れて、図書館に向かうことにした。

 そして、入り口を出ようとしたところで、ある人とすれ違った。

「……猫塚さん!」

「黒木くん?」

 さっき絵里香ちゃんが言って居た通りに、彼はこの総合商業施設に居たみたい。

「ぐっ……偶然だね」

 私は目が泳いでいたと思う。黒木くんがここに居たのは、偶然だと思いたい。

 偶然だと思いたいけど、あまりにも無理が過ぎるっていうか……うん……黒木くん、私のこと探していたっぽい気もするし……。

「猫塚さん。少し話したいことあるんだけど……」

 和風顔狐目の黒木くんは私に対し、恋愛っぽい感情は持っていないと思う。けれど、この言葉は絵里香ちゃんの誤解を招いてしまうのに十分だったらしい。