……え。なんで、藤崎くんがここに居るです? 私、お互いの家が違う方向だからって、別れて帰りましたよね?

 混乱した私は引き攣った笑顔で、藤崎くんに手を振り返した。そして、気がついたら、黒木くんは居なかった。あまりにも早くない? どこ行っちゃったの?

 そして、藤崎くんも何故か満足そうに手を振って帰って行った。

 私は平静を装って、家へと帰りだした。

 ふふっ……黒木くんと藤崎くんに、偶然に会っちゃった……偶然って重なることあるもんね……そうだよね。すっごく珍しいけど、二人に偶然会って、黒木くんは怯えて逃げちゃうかもしれないし……っ。

 って……そんな訳、ないよねー!!!

 絶対、待ち伏せと尾行でしょ!!! 間違いないでしょ!

 私だって心の中の荒れ狂う良くわからない思いを、何をどうして良いものか迷っていた。

 藤崎くん……前世の記憶を思い出しているっぽい。けど、私が戻っているかを確認しているっぽい?

 そして、黒木くんは私に藤崎くんには近寄るなって言う……そりゃ、前世に殺されたって言えばそうだけど。

 藤崎くんはもしかして、なにかしら、私に話したいことがあるってことなのかな……?