聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら、前世の記憶を持つ仲間黒木くんだった。すっきりした塩顔の中にある狐目っぽい目が、今は若干いつも比より開いている。

「猫塚さん。あの藤崎に、勉強を教わっているんだって?」

「え……うん。まあ……そうだけど」

 私は勢い込んで聞いてきた黒木くんの言葉に頷いた。確かにそれはそうだ。

 藤崎くんに放課後、勉強を教えて貰っている。とはいっても、昨日今日の二日間だけだけど……。

 黒木くんは先に帰っていたはずだけど、なんでそれを知っているんだろう? っていうか、どうしてここに居るの?

「僕は前に、言いましたよね? 藤崎の前世は危ない……ヤバい奴だったって! 猫塚さんだって、これから何をされるか……っ」

 黒木くんが不自然なところで言葉を止めたので、私は不思議になって背後を振り返った。

 そして私も驚いて、目を見開いた。

 そこに居たのは、さっき別れたばかりの藤崎くんだったからだ。

 彼は私が気がついたことに気づいたのか、微笑んで片手を振った。