ひそひそ声で言った絵里香ちゃんは、チャイムの音を聞いて満足そうに去って行った。

 良い友達持てて幸せ……けど、タイミングが、タイミングで、タイミングだった……一週間前の私だったら、絶対に喜んでいると思うよ!

 どうするべきなの……私だって、藤崎くんが百パーセント親切でやってくれていると思いたい。

 けど、黒木くんとか私の見た鮮明な夢によると、あれはすべて前世で現実っぽい。

 だとすると、前世の私を殺したのは、あの藤崎くんってことになって、やっぱり微妙ー!

 というか、藤崎くんって、前世の記憶あるのかな……?

 私は苦手な数学の授業を受けながら、藤崎くんが昨日わかりやすく教えてくれた解き方を使えば、理解が深まっていくような気がしていた。

 優秀な家庭教師なんだと思う……けど、彼の前世の記憶が蘇って、私を殺したいほどに憎んでいた訳だから、今世でも憎まれたりなんて……しないよね!?

「……猫塚。猫塚!」

「はい!」

 考え込んでいた私は教壇の先生に呼ばれていた事に気がつき、慌てて立ち上がった。

「これを解いてみろ」

 話を聞いていなかった様子の私には解けないだろうと言わんばかりの先生の後ろの黒板に書かれていたのは、昨日藤崎くんから習ったところ!

 緊張しつつ黒板に近寄り書かれていた数式を解いたら、先生は拍手しながら頷いた。

「何も聞いていないかと思ったら、聞いていたんだな。席に戻れ」

 あっ……危ない! 藤崎くんのせいだけど、藤崎くんのおかげで助かったよ!

 なんだか、私もそれについて、微妙な気持ちになった。