前世殺された人と運良く両想いになっても、彼が記憶を取り戻していたら私って殺されるまでにどうこう思われていたってことでしょう?

 えー……無理無理。

 諦めよう。好きな人って言ってもまだ話したことないしー。

 私だって、命が惜しいしー。

 私はそのまま帰宅する黒木くんと別れて、教室へと戻って来た。

 今日は数学の授業でそこそこの量がある課題を出されていて、それを思い出したのだ。私だって前世って本当にあるんだーという感動そのままに、あのまま帰ってしまいたかった。

 けど、家に帰るとうるさい兄弟が騒いでいて勉強どころではないから、教室で済ませてしまうのが一番効率が良いんだよね。

 ガラッとC組の教室の扉を開けて、私は何も言えずに固まった。

「……あ! 帰って来たー! 美波ちゃん。早く早くぅ!」

 私は絵里香ちゃんの顔を見て、そして、そこに居るべきではない人を見て驚いていた。

「え……絵里香ちゃん」

 そ、その人……どういうこと? とは言っても、それ以上声が出ない。あまりにも衝撃的過ぎて。

「……どうも」