黒木くんの発言にショックを受け過ぎだった私、期末テスト範囲を聞き逃すところだったー! 嘘でしょう。前世は気になるけど、成績は捨てたくないよ。

 危ない。けど、私はさっきまでとは違う意味で、うずうずして堪らなかった。

 だって、夢の中で見た前世の話を、誰かと共有出来るなんて、絶対に思わないもん。


◇◆◇


 放課後になった瞬間、私は黒木くんの方向をチラッと見た。

 彼も私の方を見て居たようで、視線がバッチリ合い、黒木くんは廊下を見てから頷いた。

 あ。先に廊下に出て、私を待っているってこと……?

 私たちがここで話す訳にもいかないし、二人で相談して何処かに行くのも良くないよね。

 わかる……だって、男女がそういう恋愛っぽい風な空気になりそうなものなら、すぐにからかわれるし学年中に噂でまわってしまうのだ。

 中学生にもなって……と思ってしまうけど、実際のところ、そうなのだから仕方ない。

 私が慌てて鞄を纏めて廊下に出ると、黒木くんが階段の辺りに居て、彼の細い目と視線が合うと階段を上がり始めた。