同じクラスの仲良し絵里香ちゃんに呼ばれ、顔を上げた私はランチバッグを持ちよろよろと立ち上がった。

 とりあえず、今はお腹を満たそう。そうしよう。

 だって、お腹空いている時と睡眠取れてない時は人は正常な判断が下せないもんだっておじいちゃんが言っていたもん。

「……どうする? いつもの場所行く?」

 歩き出した私に近づいた絵里香ちゃんは、ひそひそ声で言った。

 私たちの通う青丘中学校では給食がなくて、購買でパンを買うか、食券買って食堂か、持って来たお弁当を食べるかの三択になる。

 校風は結構自由で、昼休みは皆校庭に出たり屋上で食べたり、先輩たちだって好きな場所で好きなように食べている。

「もちろんだよ! 藤崎くん見て元気出さないと、もう死んじゃう……」

「えっ……何か嫌なことでもあったの?」

 落ち込んだ様子に驚いているショートカットで快活そうな印象の絵里香ちゃんは、頭が良く真面目な優等生タイプ。

 必死で勉強して偏差値の高い私立青丘中学校に入学した私の数学の小テストの点数を聞いたら、多分驚いてしまうはず。