それなのに、入学式の日に一目惚れをした藤崎くんより、断然気になっている。唯一定期的に彼を見ることの出来る昼休みだって、黒木くんを思わず探してしまうほどである。

 ……思い出したのかと思った……って、何? 何を? あの中世風の世界観での出来事?

 これが頭の中をぐるぐる回って、どこまでも終わらないのだ。

 けど、だからって『私ってもしかして、前世裏切られたお姫様だったこと、知ってたりする?』なんて、聞ける訳がない。

 いわゆる中二病って言うか、私たちってその通りそういう世代だし……若干、可哀想な目で見られるかもしれないけど『今だけの一過性で、そういうものだからね』と慰められるかもしれない。

 聞けない。けど、聞きたい。聞けない。

 あんな夢を見てさえなかったら、こっちが意味ありげなことを言いがちな世代だし仕方ないよねと、さらっと流せたかもしれないのに!!

「きっ……気になるっ……!」

 黒木くんのあの謎一言が気になってたまらない私は、三日経ってから居ても立ってもいられなくなっていた。だって、普通のことなら黒木くんに直接聞けば良い話だ。