「大丈夫! 美波ちゃんのスカートは、階段から落ちた時も全然問題なかったよ。私もびっくりして何も出来なかったんだけど、近くに居た黒木くんが助けてくれて……」

「黒木くん?」

 ……あれ? 黒木くんが夢の中でも出てきたのは、そのせいもあるのかもしれない。

 正直に言ってしまうと、黒木くんはあまり接点のないクラスメイトだ。すっきりとした狐顔というか、和風でさっぱりした目が細くて特徴的な顔をしている。

 話したことなんて、数えるくらいだと思う。

「そうそう! 黒木くん……美波ちゃんが階段から落ちた時に、慌てて駆けつけてくれて……倒れた美波ちゃんを抱き上げようとしたんだけど、動かさない方が良いって誰かに注意されて、保健室に担架を取りに行ってくれたんだよね」

「そうなんだ。お礼言わないといけないね……」

 黒木くんは何処だろうと思って、教室を見回してもまだ居ない。クラスメイトだしいつでも機会はあるかと思って、私は美波ちゃんに宿題でわからなかったところを聞こうとお願いした。


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 やっと昼休み……週末が待ち遠しい気持ちが極みの火曜日。