お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

その後、大和が葉子ちゃんに頼まれたことを俺たちに伝える。それは彼女が俺に言ったことと同じだった。

圭衣ちゃんによると、家族の中で最も美愛ちゃんのことを理解しているのは葉子ちゃんだそうだ。そして、葉子ちゃんと美愛ちゃんの間には、誰にも間に入れない深い絆があると。


「父さまと母さまがよく言うの。『美愛は私たち家族全員が望んで生まれてきた子で、葉子は私たち家族全員が望んでうちに来てくれた子だ』って。本当にその通りなの。葉子とは血は繋がっていないけれど、美愛も葉子も私の大切な妹たちなんだ。だから、どこの誰であろうと、二人を傷つけるヤツは絶対に許さない」


圭衣ちゃんはテーブルの上に拳を叩きつけた。


「うんうん、分かってるよ、分かってるから。でも、圭衣ちゃん、今日は冷静になってね。分かった? 僕との約束だからね?」


大和はきっと、何かを感じ取っているのだろう。だって圭衣ちゃんは重度のシスコンだから。

機転を利かせた大和が、圭衣ちゃんに聞いた。


「そういえばこの前、お父さんのジョセフさんが圭衣ちゃんを呼ぶとき、特別な呼び名があるって教えてくれたよね?」

「そうなの、父さまは私のことを『My Sweet Firecracker』って呼ぶの」


ケラケラと笑いながら、教えてくれる圭衣ちゃん。


「当たってるでしょう? 私、気に入ってるの。葉子は『My Sweet Happy Sunshine』で、美愛は『My Sweet Little Angel 』なの。母さまに対してもあるらしいけど、絶対に教えてくれないのよ、秘密だって!」

 
花村姉妹のご両親は、やはり仲が良い。