家に帰ってきた私はベッドの上で天井を見上げながら、夕凪さんの動機について考えていた。

 どう考えても夕凪さんは鷹羽くんの事が、好きなんだと思う。だって、好きでもない人を繋ぎ止めようなんて、誰も思わないし……すっごく無駄な時間だと思う。

 けど、鷹羽くんが私に告白した事を知って、取られたくないって思って、彼を繋ぎ止めたいって思ったんだ。

 冷静に考えたらすぐにわかる事だけど、そんな事をしても、鷹羽くんは夕凪さんを好きになる訳なんてない。

 部活の後輩の不祥事をネタにして、鷹羽くんを自分の思い通りに操って、何になるんだろう。彼はバスケット部で心底楽しくやっているからこそ、自分の行動一つで皆が嫌な思いをする事を避けたかったんだ。

 私は鷹羽くんの、そういうところが良いと思う。

 率直な行高は意気地なしだっていうかもしれないけれど、自分の一存だけで全員の頑張りとか時間とかを台無しにしたくないと思うことは彼がそれだけ思慮深い人だということではないだろうか。

 夕凪さんがそうしたことは、全部逆効果になってしまうけれど、鷹羽くんを好きすぎて、私のことが羨ましくて、彼女はもう何がなんだかわからなくなっているのかもしれない。

「……夕凪さんにも、良い解決方法あるかなぁ」

 ぽつりと呟いたけど、私だってそんな都合の良い方法が、ある訳ないよねって思っている。