と、勢い込んで入って来たのは行高だった。夕凪さんも名前も知らない二人も驚いたような顔をしている。

「ゆっきー……これは……」

 私は行高は夕凪さんにも、ゆっきーって呼ばれてるんだななんて場違いなことをのんびり考えたりしていた。

「俺の彼女に何の用だよ、夕凪に三笠に、近藤。澪になんかしたらタダじゃ済まさない」

 私たちは四人共、動きが固まってしまった。

 そうか。そういうことになってたし、付き合うふりをやめようって、ちゃんと私は言ったつもりなんだけど行高の中では継続中なのか。

「え? ゆっきー、有馬さんと付き合っているの?」

「そうだよ。この前から」

 私はどうしようか、心の中でめちゃくちゃ揺れていた。

 このまま、付き合っていることにしてしまえばこの場は丸く収まる。でも、鷹羽くんのことは……。

「なんだ、そうなの? 誤解してたわ」

「それならそうと、早く言えば良いのに……」

 口々に言って教室を出ていく三人組を見つめて、行高に目を移した。

「タイミング、考えて」

「……は? どういうこと?」

 私はうーん、と手を組んだ。参った。

 教室ではないところで、三人に囲まれた方が良かったかも。

 残ったクラスメート達の冷やかす声や視線に耐えられなくて、私は通学バッグを手に持ってその場を後にした。