「夕凪さんとは似合うの?」

 淡々と言い返す私にイラつくように両脇の二人が続けて言う。

「美穂の方が鷹羽くんに似合うって言ってるのよ。あんた邪魔なのよ」

「そうよ、美穂の方が可愛いし頭も良い。有馬さんとは大違い」

 くすくすと三人で笑い出す。教室に残っているクラスメートたちも、私たちの不穏なやりとりを見てなんだか、ざわざわとしだした。

 誰かが教室を出ていく気配がした。喧嘩をしていると、先生を呼びに行ったのかもしれない。

「夕凪さんは鷹羽くんと、付き合っているの?」

 夕凪さんは今まで余裕のあった顔に眉を潜めて険しい顔をした。わかっている、私がこんなこと言うなんて思わないよね?

「貴方には関係ないでしょ」

「……何の権利があるかわからないけど、夕凪さんに、似合わないてんて言われる筋合いないから」

 ぴしゃりと言った私の言葉に三人は顔を見合わせた。

 モブで文句を言わないだろうと踏んで居た私から思ったような反応を得られなかったみたいで、戸惑っているみたいだ。

「おい。何をしてんだよ」