「ちょっと、有馬さん、来てもらって良い?」

 私は次の日の放課後、急いでバイトに向かう寧々ちゃんを見送ってゆっくりと通学バッグを出して帰る準備をしていたところに、夕凪さんとその友達だろう二人が話しかけて来た。

 今日は鷹羽くんはすぐに部活に行ったみたいだ。明日試合って言ってたし、私に夕凪さんの矛先が向いていて良かった、とちょっとほっとした。

「何? 言いたいことあるなら今ここで言って欲しい」

 私は夕凪さんの可愛い顔に目を向けて行った。わざわざ人気のない場所で囲まれるのわかっていて、誰が着いて行ったりするんだろう?

 三人はちょっと顔を見合わせたけど、教室に残っているのが少数だし、わざわざ止めてくるような正義感の持ち主は居ないと判断したようだ。

「……良いわ。鷹羽くんに近づくのやめてくれる? 昨日もゲームセンターまで着いて来て、何のつもり?」

「なんで、夕凪さんがそんなことを私に言うの?」

 ぐっと言葉につまったように夕凪さんは一瞬黙ったけど、長い睫毛の大きな目で私を睨みつけた。

「有馬さんと鷹羽くんは似合わないもの」