「えー……私、絶対そうだと思うけどなあ……あ。澪、放課後どうする?」

「ん。今日、私が当番なの。図書室に行かなきゃ」

「そう? じゃあ、先に帰ってるね~」

 寧々ちゃんに手を振って、私は四階にある図書室へと向かった。

 校内のどこからか聞こえるざわざわとした喧騒、バタバタと誰かが走り回る足音。

 図書委員会の当番が終わる六時までは、今日は帰れない。

 苦手な数学の課題が出たとこだから、当番中に格闘しなきゃなんてため息をつきながら階段を上がる。

「有馬。図書室の鍵はここに置いておくから、帰る時は閉めて帰ってくれよ」

「はい。わかりました。職員室に戻しておきます」

 図書室に着くと同時に、図書委員会顧問の長谷部先生が出て行った。

 長谷川先生は野球部の顧問もしているから、いつも忙しそう。ずっと図書室に居る訳にはいかなくて、大体は図書委員に任せきりにしていた。

 季節的に外気が適温なので、図書室はエアコンはつけずに窓を開け放っている。

 図書室の中にゆるい風がふわっと舞って気持ちよかった。

「さ……課題でも、するか」