急激に暖かくなってきた気候は、夕方の空気もぬるくする。

 私たちはショッピングセンターを出て、二人隣り合って帰っていた。

 不快感はまだそこまでないけど、雨が降り出すともっと重く感てしまうのかも。

 隣の鷹羽くんの周りだけ爽やかに感じちゃうのは人徳なのか、その毒気のない笑顔のせいなのか良くわからない。

 鷹羽くんは私の隣で、長い足をじれったいくらいゆっくり動かして歩く。

 私はもう少し早く歩けるし、合わせてくれているって訳でもなさそう。逆にこっちが彼に合わせて歩いていた。

 けど、今の中途半端な関係の私が、それをどうしてって聞くのは何だか違う気がした。

「あの、ここで良いよ、ごめんね。結果的に部活サボらせちゃった」

 お互いの家の丁度中間地点になるだろう、学校の近くの交差点で私は言った。

 鷹羽くんは、ううんと首を横に振った。

「家まで送るよ。……時間あるんだし、送らせて」

「誰かに見られたら、私と遊んでたのバレちゃうよ?」

 私は周囲を見回した。

 下校時間が過ぎて長いし、運動部の人たちが学校を出るのはまだ先の話だ。

 近くにうちの学校の制服を着ている子はいないけれど、何かの用事で残っていて偶然見かけられたら、週明けは噂になるだろう。

 それに運動部だってランニングしたりして、この様子を偶然見かけられてもおかしくないし。

「……有馬は困る?」

 鷹羽くんの眼鏡の奥の真摯な視線に、なんて答えようか困った。