「そのくらいだったら良いんだけどね……脅した人間ってどんどん要求が上がっていくらしいから、それまでにはなんとかしないといけないな……県大会が迫っているから俺が何も言えないって夕凪もわかっているだろうし」

 鷹羽くんは何か考えるようにして、頬杖をついた。こんな時におかしな話かもしれないけど、物憂げな様子もすごく絵になる。

「……プリクラ撮ったの? 良かったら、見せて」

「あ、ごめん。俺は要らないから、全部夕凪さんに渡して来た。見たかった?」

 それもそうだ。鷹羽くんは夕凪さんとプリクラ撮りたかった訳でもないもんね。

「うーん……見たかったような、見たくないような」

 複雑な思いを抱いた私は首を傾げた。そんな様子を目を細めて鷹羽くんは笑った。

 そんな顔をされてしまうと、こっちはどんな顔して良いかわからなくなるよ。

「……良かったら、これから撮りに行く?」

「え?」

「有馬と撮りたい……あ、でも時間がないなら、今度でも良いよ」

 鷹羽くんは腕時計を見ながら言った。けど、さっき怖い思いをした場所に帰る気になれなくて、首を振った。