私はその背中を見送ってから、何を言われたのかをようやくかみ砕いて、慌てて階段を降りて一階のカフェへと入った。

 冷たいカフェオレを飲みながら思った。

 ……なんだか、私。力になろうとして、逆に鷹羽くんの足引っ張ってない?

「お待たせ」

 それから程なくして鷹羽くんは現れた。アイスコーヒーを載せたトレイをそっと私の前の席に置く。運動部が皆持っている大きなスポーツバッグが邪魔そうだ。

「ごめんね。大丈夫だった?」

「うん。プリクラだけ撮ったら部活に遅れて行くつもりだったんだけど、今日はサボり決定」

「えっ、怒られたりしない?」

「うん。仕方ない。これって、体調不良だし」

 どう考えても健康そうな顔をして、彼はにかっと笑った。

 私がここまで付いて来なかったら、そのまま部活行けたんだなと思ったらすごく悪い気がした。

 鷹羽くんはアイスコーヒーを飲みながら、私のことをじっと見つめる。



35 ピンチの状況?
「今までサボったことないし、顧問も疑ったりしない。心配しなくても大丈夫だよ。有馬が着いて来ているとはぜんぜん思ってなかった。力になれるってなんで?」